近況の記事に書いたとおり、先日ニコンD850を買った。そもそもD850を買った理由は、「サブ機が欲しい」というものだった。Z 7を買い(もう売ったが)、Z 8を買い、Z180-600を買い、動体撮影のメインがZに完全に移行してから久しいが、とはいっても少し前まではお守りも兼ねてD4Sをカメラバッグに忍ばせていることが多かった。しかし、ここで立ちはだかってくるのが「16MP」「Wi-Fi非搭載」「重い・デカい」といった型落ち1桁機故のしんどさ。
Z 7を買って以降、45MPにすっかり慣れてしまったこの体に16MPはあまりにも心許ないのである。そのため、サブ機として持って行っているのにもかかわらず、結局レンズを入れ替えて45MPのボディで撮るような始末。さながら1kg超のリアキャップである。
というわけで、去年の築城航空祭はとうとうZ 8だけで出陣した。普通に飛行機を撮る分にはもちろん支障はないのだが、ブルーインパルスが来るような回だと超望遠と魚眼を入れ替えたりする必要がある。超望遠がズームなだけまだマシだし今更何言ってんだよという話ではあるものの、やっぱり現場でのレンズ交換は最低限にしたいのが本心。そんなことがあってサブ機候補を漁り始めたのである。
もっとも当初はFマウントカメラなんて買うつもりはなく、元々「小さいカメラ」が欲しかったというのもありm4/3のカメラだとか、ZマウントでもZ fとかが筆頭候補だった。Z fは在庫が不安定だったのもあるしそもそも高いので早々に候補から外れ、LUMIX G100Dあたりが有力になっていたところで、D850のアホみたいなキャッシュバックが発表されたのである。その少し前にG100Dを店頭で触ってどうしてもUIになじめなかったというのもあって、心は自然とD850へ……。奇しくも70-200FLを買ったばかりだし、「Fマウント最終世代をコンプリートしておきたくない?」という悪魔の囁きが日に日に大きくなっていく中で、気付いたらD850を買っていた。これがことの顛末である。
当初の予定通り70-200VRIIを下取りに出し、キャッシュバックを加えるとすでにD850はかなりお買い得状態になったわけだが、ここで改めて「D4Sいる?」という疑問。D4Sがマップカメラのワンプライス査定の対象外になってからしばらく経つ令和6年、まともな金額で売れるとは思っていなかったので当初は使わずとも防湿庫の万人として手元に置いておくつもりだった。しかし、ひょんなことからフォロワーから「最近D4S高騰してるよ」という情報が。実際にヤフオクを調べてみると、想像の倍ぐらいの高値で取引されていた。状態問わず7~8万円は割らず、上物であれば10万もくだらないといった具合。瞳が$マークになった。
自分のD4Sは購入当時からまあまあ外装の状態は悪く、そこからさらに5年以上酷使してきたため中々悲惨な状態である。いたるところ梨地塗装が剥げ、さらに地色が出ているところもある。10ピンとシンクロのターミナルキャップは消失した。マップカメラなら余裕で並品なわけだが、一方で一度異音を理由にセンサーとシャッターユニットを交換しており(マップカメラの安心保証で無料)、そこはアドバンテージになりそう。EXIFのシャッターカウントは10万回弱のためなんとも言えない感じだが、これでも公称耐久値の半分以下。若干の期待を寄せながら出品写真を撮り、50,000円スタートでヤフオクに出した。
オークション終了1時間前の時点で多少落札が入り、7万円強ぐらいにはなっていた。もう少し上がるといいな~と思いつつ、まあこれでも十分だなというのが正直なところ。なんせこのD4Sはカメラマンバイト時代に100万以上稼いでくれているのである。40万弱で買っていることを踏まえても、十分すぎる。というわけでヤフオクの画面をずっと見守っていると、85,000円の入札が。そこから期限ギリギリまで入札が続き、最終的には10万オーバーでの落札となった。なんとまあ!!!
俺にプロ機の愉しさ・頼もしさを教えてくれ、金を稼いでくれて、なおかつ高く売れる。なんてオーナー思いのカメラなんだろう。そして商品写真を撮っていて切に思ったのが、本当にD4Sはかっこいい。D3もD5もかっこいいと思うが、ニコンD1桁シリーズの中で一番かっこいいのはD4/D4Sだと思う。そんなD4Sももう手元にはない。代わりにPayPay残高が幾分増えたが、これも大半が自動車税に消える。一抹の寂しさを感じながら筆を執った次第である。