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文字を読む旅 in 南九州 Day1 (知覧・枕崎・指宿・鹿児島)

南九州に行ってきた。同行者は長い付き合いになるフォロワーのオタク。テーマは「文字を読む旅」――といっても、文字読み要素は全体の半分もない。久々に旅行らしい旅行をできたので色々覚えているうちに文字に起こしておこうと思う。

大まかな旅程はこんな感じ。

Day1: 飛行機で鹿児島入り→知覧→枕崎→指宿→鹿児島市内で宿泊
Day2: 水俣へ移動→長島(鹿児島)で宿泊
Day3: 長島内を散策→薩摩川内・鹿児島経由で空港へ、羽田へ帰着

こう書けば文字読み要素をご理解いただけることと思う。知覧といえば太平洋戦争末期に陸軍特別攻撃隊の出撃基地として著名であり、水俣は言うまでもないだろう。


新燃岳

出発を数日後に控えた某日(7月3日)、朝起きたら「新燃岳の噴火活動が激しくなり霧島市内に大量の降灰があり、鹿児島空港発着便が大量に欠航した」とのニュースが目に飛び込んできた。トカラ列島の群発地震は「いうて距離もあるし関係ないやろな~」ぐらいのつもりで見ていたが、飛行機が飛ばない可能性が出てくるとなると冗談ではない。といっても今更キャンセルする気にもならず、とりあえずは行きの飛行機が飛ぶことを信じて旅行当日を待つこととなった。帰りはどうにでもなるやろ論法である(新幹線とかあるし)。

そんなこんなで迎えた当日朝、家を出るまでに欠航の連絡はなく、念のためいつもより少し早めに羽田へ向かう。あと1年弱で使えなくなるCLUB-ESTのサクララウンジ特典を噛みしめながら同行者と合流しゲート前へ。ここでも欠航の案内はなく、勝利を確信しながら無事搭乗。休日朝の羽田ということもあり順番待ちで随分待たされたが、CF6の美音と共に離陸、機長挨拶で「空港周辺の風向き的に噴火したとしても関係ない」との一言がありDVTやATBの心配もなく鹿児島空港へ降り立った。

機窓から見える空港周辺は火山灰で真っ白――なんてことはなく、思ってた以上に普通で拍子抜け。飛行機を降りて外に出てもそれは変わらず、なんだこんなもんか~と思った矢先に目に飛び込んできたのが真っ白になった駐車場の車。よく見るとタクシーのタイヤもトレッド面が真っ白である。やはりそれなりに影響があったらしい。

よく見たら「わ」ナンバーだった。レンタカー屋さんも大変だな


ノートオーラ

今回、3日間の移動はレンタカーとなる。タイムズレンタカーでちょうどキャンペーンをやっていたので結構安く借りられた。C-2クラス指定(ヤリスHV、フィット、マツダ3等)だったため車種は当日のお楽しみだったが、出てきたのはノートオーラだった。通常のE13ノートには乗ったことがあったがオーラは初めて。プロパイロット付いてたらいいな~と微かな期待を抱いて運転席に乗り込んだが当然そんなことはなかった。これはT33エクストレイルにも共通だが、プロパイロットレス仕様は定速クルコンすら付かないのが本当にクソ。今や全グレードにアイサイトが搭載されているスバルを見習って欲しい。日産そういうとこやぞ。

この車もよく見るとドアサッシの隙間やホイールの内側に火山灰が積もっていた

と早速文句を言いつつ、e-Powerのドライバビリティ自体はすごく好きなので3日間走行性能に関しては全く不満がなかった。高速を走っても街中を走ってもちょっとワインディングを走っても非常にいい。なんせ冷房がめっちゃ効く。始動直後からキンキンの冷風が出るのは18年落ちのドイツ車に慣れてしまった身からすると本当に感動的である。じゃあ買うか?と問われるとプロパイロットセットOP(48万円)など色々気に障る部分があるのは確かだが、レンタカーで出てきたら嬉しい車種であることには間違いない。もっと売れてもいいと思うんだけどなあ。クルコン付いてないくせに可変配光のLEDハイビームが付いていてびっくりした。


知覧

空港から車を1h強走らせて知覧へ到着。この時点で昼過ぎ、昼食がまだだったため知覧茶屋、かつて特攻隊員たちが通った旅館をルーツに持つお店へ。とんこつと茶そば(戦後知覧はお茶の産地として有名)の定食をいただいた。とんこつというのは初めてお目に掛かったがなかなか美味しかった。腹を満たしたところで今回最初の文字読みスポット、知覧特攻平和会館へ。

右上が「とんこつ」。なかなかのボリュームだった

博物館や展示施設を好んで訪れるようになったのはここ数年の話だが、知覧に関しては随分前から知っていた。というのも、仕事の都合で全国各地に行っていた父親から「お前も大人になったら知覧には行った方がいい、何回行っても泣ける」と話を聞かされていたのである。近代日本の汚点の1つである特攻に関する一次資料(主に出撃前に認めた遺書)が大量に展示してあるということは知っていたし、知覧の本家(?)にあたる大刀洗には数年前に訪れていた。ここにも特攻隊員の遺書や遺品は展示してあり、かなり心を打たれたのを覚えている。

館内はほとんど撮影禁止(展示物の性質を考えたら仕方ない)

展示物が展示物だけにこのような表現が適切ではないかもしれないが、とにかく物量がすごい。出撃期ごとに遺影と遺書、遺品が壁一面に展示されている。80年前の日本人は本当に達筆でそもそも解読するのが難しかったりするのだが、それぞれ目を通していくとKAMIKAZEなんて美化される向きもある特攻がいかに悲しくて恐ろしい物であったのかを痛感する。肉親への感謝・後悔の念、自分を鼓舞させるかのようなメッセージ、そして「さようなら」。これを18歳19歳の“少年”が書いている。他方、出撃前に楽しそうに宴に興じる写真が残されていたりと、そのホモソーシャル的な世界が分からなくもないだけに、酷くリアルに残酷に感じた。基地まで両親が面会に来たが自分が特攻兵であることを伝えたくないので周囲にそのように振る舞ってくれと頼んだ、そんなエピソードも遺品と共に展示してあり、あまりにも辛い。

結果2時間ほど滞在した。とにかく「重い」。間違っても修学旅行などで適当に消費していい場所ではない。父親の「大人になったら」という言葉にはそんな意味も込められていたのかもしれない。将来、もし自分に年頃の子供がいる状態で再訪したら……。正気を保てる自信はない。


枕崎

気持ちを切り替え、一路枕崎へ。特にやることがあるわけではなく、とりあえず先っちょ行っとくか~ぐらいの感じである。ちなみに今地図を見返して別に最南端でもなんでもないことに気付いて笑っている。枕崎の先っちょにあたる火之神公園というところに行ったら戦艦大和の慰霊碑があった。全然知らなかったが大和(とその船団)は枕崎沖に沈んでいるらしい。

眼前には東シナ海が広がる

市内にはお城のような目立つ工場(?)があり、そばを通ってみると鏡割りとか神社の奉納品でよく見る「さつま白波」で有名な薩摩酒造の本社だった。旅先でこういう発見があると嬉しい。続いて枕崎駅へ。枕崎駅は「全国最南端の始発・終発駅」ということで謎のモニュメントと看板があった。レトロな駅舎は実は近年建て替えたものらしく、近づいてみると結構綺麗。1時間に1本とかなんだろうな~と時刻表を見たらそれどころじゃなくて横転。それでも鹿児島中央まで直通が1日数本あるらしく、最低限の人権はある…ということなんだろうか(所要時間は怖くて調べていない)。

ゆいレールができる前は「本土」の表記は無かったんだろうか

枕崎駅の前には地場スーパーのタイヨー枕崎店があり、飲み物を補給しつつ店内を視察。平成で時が止まったゲームコーナーに感動しつつ、食料品コーナーに行くと流石枕崎ということでカツオ関係が充実していた。加えて醤油や酒のコーナーも関東では見られないラインナップであり、やっぱり地方のスーパーは見ていて楽しい。時間が微妙だったので叶わなかったが、地物カツオを食べたかった…。

最後には枕崎市内の珍スポット「ヤッシー」も訪問した。以前台風の時に話題になった海岸沿いに植えられたヤシの木である。それ以上でもそれ以下でもない。特に看板があるわけでもなく(GoogleMapsのベニューはある)、ただ高いヤシの木が数本並んでいるだけ。なおライブカメラは24H動いていたので無事映り込むことに成功した。

台風とはほど遠い好天に恵まれた一日だった


指宿

枕崎からしばらく車を走らせて今日の最終目的地指宿へ。道中開聞岳が非常に綺麗だった。砂むし会館砂楽での砂蒸し風呂がターゲットである。日の長い南九州といえど随分暗くなった時間に到着、夕食をどうするか迷っていたところちょうど砂楽の前でお祭り(?)をやっていたので、そこで鶏の炭焼きをいただいた。

どういう立て付けのお祭りなのは分からないが地元の人で賑わっていた

当然人生初の砂蒸し風呂、事前情報ではちょっとしたサウナのよう、という話(同行者は経験済だった)だったが、実際砂に埋まってみると確かにサウナっぽい。何より驚いたのが砂の重さである。若干湿った砂というのもあるが、身体の上には暑さにして5cm程度しか被っていないはずなのに、ちょっと身動きがとれなくなるほどの重量感がある。よく海水浴場で砂浜に人を埋めて遊んでたら死んじゃった…なんてニュースを見かけるが、砂の重さをこうやって体感すると有り得ない話でもないんだなと独りで納得していた。砂に埋まっていたのは15分ぐらい、その後は隣接のシャワーと温泉で入浴。この時点で21時前だったが、初日の宿は鹿児島市内だったためここからさらに移動開始である。

なお、砂楽は砂蒸しエリアに携帯を持ち込むことができないため、写真とかを一切残せない。そりゃ浴衣の下は全裸だし混浴なので色々とマズいのは分かるが、有料でもいいから写真撮影サービスやったらいいのに…と同行者と話していた。砂に埋まっている自分の写真、俺なら買う。


鹿児島市内(泊)

22時頃ホテルにチェックインし、超遅めの夕食はホテル近くの名店ラーメn小金太へ。鹿児島ラーメンというものを初めて食べたが、枕崎を擁する土地柄なのか豚骨ベースではあるものの魚介スープがかなり主張する味わいが新鮮だった。麺もいわゆる九州の細ストレートではなく、加水率の高そうな中太麺でこれも新鮮。これが鹿児島ラーメン共通の特徴なのか小金太特有なのかは存じ上げないが、22時過ぎに食べるにはちょうどよかった。土曜日だし時間が時間なので客の大半は飲み帰りの様子だった。

若干食いかけです、すみません

ホテルへの帰り道では深夜営業しているタイヨー銀座店に寄り、デザートとして鳥刺しを調達。県内で食べれば余程大丈夫といわれているものの、つい最近神戸であれそれあったこともあってまあまあビビりながら初喫食。確かにこれは酒のアテには最高だろうなあいう感じだった。実際ジモティーはどういう感じで食べてるんだろう。食べてから5日ほど経つが今のところカンピロバクターの気配はない。勝ったか。

TSUのQ2落ちに悲しみながら鳥刺しをいただく

そんなこんなで宿に戻ってF1の予選を見てこの日は就寝。

2日目以降はまた書きます。

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